喜望峰

 

大陸の果てへと辿り着いても
あなたへは辿り着かない
あらゆる世界の果てを彷徨っても
あなたへは巡り会わない

幻だったのだろうか
ぼくを愛していると告げる声
たとえ夢だったとしても
この一生で触れ合えたことが嬉しい

ぼくを裏切るような人が
ぼくを幸せにすることはできない
けれどこの世界の一体どこに
裏切らない人がいるのだろう

大陸の果てではあなたではなく
大きなクジラがぼくを出迎えた
ここにいるよと海に身を横たえながら
何もない果てはないとぼくに教えた

ぼくを裏切らない美しい世界が
確かにあることを見逃して定めを憎んでいた
ぼくを裏切らないたったひとつの名を
ぼくはもう既に知っているというのに

 

 

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